『サマーウォーズ』

時かけ」の細田守監督作品。
映画「サマーウォーズ」公式サイト


あらゆるライフラインがネットワークを介して管理されている社会。かたや戦国時代から続く由緒ある家系の大家族。
日本の"伝統的"風景と電脳空間とが混在して、当初どんな展開をしていくのか見当がつかなかった。


若くまだ自分の力の使い方がわからない男の子が、強大な障害と対峙しどのように立ち向かっていくか、そういう成長譚というのは別に珍しいものでもない。その舞台設計として、先にもあげた2つの異なる空間を設定してどのように展開させていくのかが、この映画の出来不出来の境界だったような気がする。
結局は話は"PCの前"で展開していくんだけど、ものすごく広大な舞台がありながらそれってどうなのよ、という想いは抱いた。
大家族というのも、それぞれがそれぞれで特殊能力のようなものを持っていて(といっても医者だったり漁師だったり自衛官や消防士だったりということだけど)もっと活躍させることもできたと思うんだけど、それもいろいろな制約がかかって、物語の中ではうまく発揮させない。それが、話の規模の割になんとなくあっさりとした印象に感じられた。やりようによっては、もっと複雑で豊穣とした作品になったと思う。
決して悪い作品ではなく、とても面白い作品だとは思うけど、以上のような点が少し気になった。