トニー滝谷

孤独だった(そしてそれが当たり前だった)男が愛情を覚え、それを突然失う、喪失の物語。
「満腹」を知らなければ「飢え」を覚えることがないように、「愛」を知らなければ孤独を知ることもない。それがあったときはあんなに輝いていた景色がくすんで見え、そんなんだったらなにも知らないほうがよかった、などと考えてしまう。
トニーにとってはそれは「元通り」になっただけだが、妻が遺した何十何百着の衣服によって、思い出に縛り付けられる。


朗読劇といった趣の映画。西島秀俊の低体温な語りが情感を深めている。
うん、こういうの好き。あと宮沢りえはどんどんかわいくなるね。やせっぽちだけど。