マイ・ブルーベリー・ナイツ

TVCFなどを見て「この雰囲気は好きな感じだ」と思ったら、ウォン・カーウァイ監督なのね。
この作品を見て改めて感じたのは、「この監督はメタな視点で語っていくな」というところ。「メタな視点」てなんだよ。
ウィットに富んだ会話、という言い方もできるけど、「雰囲気で語っちゃう」感じ、というか、交わされる会話に「隙間が多い」感じがする。登場人物の間に通じるコードが飛び交ってる感じ。それでいて観衆にその意図するところが伝わっているのは、登場人物のプライベートな振る舞い(画にBGMだけのシーンとかスローモーションになってたりするところね)を間あいだに挿入しているからで、この辺はウォン監督お得意の表現である*1
あと、今回は「ブルーベリー・パイ」が中心的なメタファーになってるけど、「ツケ払いの伝票」に特別な意味をこめたり、この辺の見せ方は独特だなあと思う。「恋する惑星」や「天使の涙」でも、「賞味期限切れのパイナップルの缶詰」のエピソードがあったりしたし。
花様年華」や「2046」に比べればあっさりとした感じだけど、愛すべき掌品。

*1:ウォン監督の作品は「台本」が存在しないことで有名で、この辺は演者の感性によるところが大きいのかもしれない。