I Saw The Light


―あ゛ヾ〜なんでオレはモテないんだっ!


日長そんな思いに駆られている。いやモテないだけならいいんだ。
会う女会う女皆が皆、自分を嫌っているように感じる。
オレが何かしたか?アレか?コレか?いやどう考えてもオレはそんな嫌がられるようなことはしてないぞ!?


オレの存在か?存在そのものが罪なのか?業なのか?
わはははは!!
んじゃオレは何をしたってダメじゃないか!
存在するだけで嫌われるのなら!
オレは"嫌われる生き物"なのだから!


―そんなことはありません


唐突に頭に声が響いてきた。覚えのない、性別も年恰好もわからないような。


―あなたは知らないだけなのです
―あなたを愛する人がどんな眼差しであなたを見つめるのか


声が途切れると、視界が急にぼやけ、次の瞬間、仰向けになって天井を仰いでいた。
視界の端に、家具調の柱が見える。それが格子状に並んでいて、さながら牢屋のようだった。
腕をいっぱいに伸ばしてみる。自分のイメージよりも近いところまでしか手が行かず、しかもその手はいつもの血管や関節が浮き出たそれではなく、プクッとふくれた赤子の手だった。
女性が自分の顔をのぞいている。無垢なほどに若く、一筋のしわも一点のシミもなく、頭髪も黒々としていたが、一目見て彼女が誰なのかわかった。


…オレの母親だった。


無上の幸福に満ちた、それこそ自分のためになら生命だって投げ出してくれるというような、母親の顔だった。自分は無償の愛を湛えた眼差しで見つめられている…しかし…


これじゃなんの参考にもならねえぇぇぇっっっ!!!!!!


<テーマ曲>Todd Rundgren - I Saw The Light


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