かまきり

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食人賞 - ファック文芸部

―食べちゃいたい。

おもむろに僕の腹の肉をつまむと、彼女はそう言って笑った。「お腹の肉、あまってるよー」


やめてよ、と抵抗したが、彼女は僕の腹を揉みしだくのをやめない。んふふ、と押し殺した笑い声が、豆球だけが点いている暗がりの部屋に響く。
抑え切れなくなったというように、彼女が腹に食いついた。最初は唇だけでしゃぶっていたが、次第に歯を当てて噛み、その力も強くなっていく。痛い、痛い、と言ってもやめない。

―…おいひ。


いつの間にか、僕の体はバラバラになっていた。意識ははっきりしていて、口のまわりを真っ赤に染めた彼女の姿が見える。僕の腕を、脚を、食いちぎり、咀嚼し、骨をしゃぶる。あらかたしゃぶりつくした骨を脇へ放り投げては、「僕」の体だったものを拾い、「僕」を平らげていく。僕と目が合うと、至高の満足を湛え、満面の笑みを見せるから、僕も満ち足りた気持ちになる。
そうして「僕」は、彼女の栄養になり、彼女の一部になる…



…そんな妄想で、僕は射精した。