友人の結婚式だった


高校時代の部活の同世代が集まった。

全員そろったのは久しぶりかもねー

そのせいか少しハメを外しすぎたかもしれない。


近況の話なんかする。誰かは最近できた恋人の話をしたり、誰かはあきらめた思慕をためらいがちに話したり、誰かは自分に宿った命の話をしたり。
それぞれが、自分の立場を築き、自分の居場所を作り、自分の未来を描いている。


それで僕は?


聞かれなかったから話さなかった。考えてみれば取り立ててする話もなかった気がする。


今日の主役の彼女は、1年前に「年内に結婚する!」と周囲に宣言し、果たして昨年中に相手を見つけ、親交を温め合い、年末には親しい友人に式の招待状が届いていた。昔から自分の意志が強く、だがそこまで行動力があったのか、と皆が驚いていた。


それで僕は?


昔から常になにがしかの居心地の悪さを感じ、まあそのうちなんとかなるか、とやり過ごし、いつの間にか時代に手足をもがれたように、世界へのアクセスの仕方もわからなくなってしまった。努力が足りなかった、というのは正しいのかもしれない。でも自分にほかのやり方があったのか、と問うとなにも思いつかない。


もう自分の世界に「誰か」が入ってくる、ということが想像できない。これは「モテる」「モテない」というカジュアルな話ではない。あるのは「絶対的な孤独」と「霞がかった絶望」である。