崖の上のポニョ

さてそろそろブームが納まってくる頃に観てきましたよ。


今日までに様々なレビューをガイダンスとして拝見してきましたが、「これはいわゆる<人魚姫>的なお話なのかなあ」と思いましたが、はたしてこれは<人魚姫>でした。僕は<人魚姫>がどういう話だったか、そこまで詳らかに知っているわけではありませんが。
これまでの宮崎作品と比べても、やや異質な作品ではありました。鑑賞時にはうっかりしていたんですが、そこで示される世界観を、なんの前提条件も与えられず、あっさりと投げ出される。これまでの「トトロ」にしろ「千と千尋」にしろ、眼前に現れる「異次元の世界」に対して、それを受け容れるための「物語」が与えられてきました。「ポニョ」においては、子どもは風変りな金魚を「友だち」として認識しますし、常識的であるはずの大人たちも、次々と起こる不思議現象を(描かれていないだけかもしれませんが)なんの違和感も示さずに認めてしまいます。こういうことは「お話」だから許される、というところもありますが、なかなか面白い体験となりました。
絵柄は「これこそデフォルメ」というほどに抽象化され、見ていて楽しくしかも気疲れしない、なんだか絵本を眺めているような印象。それでいてけっして描写が大雑把というわけではなく、気をつけて見れば非常に細やかに描写されている、まさにプロの仕事と感じました。
宮崎駿はこの作品を「子どもたちのために作った」と話していたそうですが、その気持ちは伝わってきましたし、僕もこの作品については支持したいと思います(何様


<参照URL>
宮崎駿のアヴァンギャルドな悪夢: たけくまメモ
2008-08-14