おぅ、そうだった!

「神童」のレビューするって言ってやってなかった!
映画公開前に、って思ってたのに!
もう公開日明日だよ!


といって、現物は手元にないし。
まあいっか。簡単に。


登場人物の成長、「"うた"が片思いを通じて獲得する演奏の情感」とか「"ワオ"の恋を通じた自分の才能の発見」とか、いろいろクライマックスがあって、ひとつひとつをピックアップしていきたいところだけど、ひとつだけ挙げるとすれば、


「音をなくした者が"音"を再び獲得する」


過程だ。あえて詳しいことは書かないけど、何回読み返しても、このくだりになると体中に電気が走ったように昂ぶってくる。「音楽の才能を持った者」が音そのものをなくすのは、我々凡人が想像するよりもはるかに深い絶望であることは、想像に難くない(ドッチダヨ)。
目の前に"音"を取り戻す代替手段が現れたとしても、それをすぐには受け入れない。彼女(これくらいは言ってもいいか)にとって、そこで感じる"音"は自分にとっての音ではないと、頑なに拒否する。
そこから、音楽はなにも「外界からうける鼓膜の振動」だけではない、と気づかされ、再び楽器の前に対峙しようとする、と話が進んでいくうち、読んでいる側も、パアッと視界が開けていくような感覚を覚える。
陳腐な言い方になりそうだが、「挫折を乗り越える方法」、目の前に追っていた「夢」「目標」と呼ぶ「こだわり」が霞んでしまっても、それ以外にも道がある、そこにいく方法はひとつではない、ということを知っていれば、怖れに立ち止まったりせずに、勇気を持って人生を歩んでいけるような気がする。

大丈夫だよ ママ

わたしは音楽だから