「フラガール」

あんまり評判がいいので見に行ってみた。「期待しすぎて思ったほどではなかった」典型の映画になってしまった。
しかし、印象に残るシーンが多く、秀作という評判に違わぬ作品である。


普段の生活で思ったことをそのまま表現できる人はうらやましいと思うが、歌とか物語でそういうことをやられると興ざめしません?自分が歌書いていた時期、作詞するときは、たとえば「好き」という気持ちを表現するときは「好き」とかそういうことを直接想起させる言葉を使わないで表現するものだとなにかで読んで、その点をずっと留意していたんだが、最近の歌にしろ物語にしろ、直接的表現が多くて、なんだかなぁと思っていた。


唐突になんでそういうことを書いたかというと、まどか先生やその生徒の交流が、ちぐはぐなのに、傍からみてるとじれったくなるほど愛し合っていたから。
ケンカした翌日に、ニーッと歯を見せて笑ってみせて、「これでいいんでしょっ」という場面。
ある事情で抜けなければならなくなった団員を見送る場面で、なかなか輪に入れないが、思いが募ってついに抱きしめてしまう先生。
過剰どころか、ほんとにもっと素直になってもいいのにというくらいに不器用だけど、互いに思い合っている人々に、胸が熱くなった。
最後のダンスシーンは圧巻だった。それこそ「スウィング・ガールズ」の時より「スゲー」と思った。


李相日監督は「青〜chong〜」「69」と見てきたが、「青」の時に「キタノ作品に影響を受けた」という話をしていたような気がする。確かに映像がカラフルじゃないが、それが炭坑の町の雰囲気を表現するのに一役買ったようである。