bice
bice | Singer-songwriter biceサイト
biceは、くすぐったくなるようなウィスパーボイスと、ほのぼのとしているようでどこかシニカルなサウンドで、日本のポップミュージックの中でも稀有な存在だったと思う。
彼女が「bice」という名前で世に出たとき*1は、確か90年代の終わりだったか、その頃の日本のポップス・サウンドを意識した曲作りをしていた印象がある。享楽的といっていいほどテンション高めで、それでいていきどころのない熱を持て余したような痛々しい音が街にあふれていて、その頃のbiceのサウンドも、そういった時代の雰囲気に合わせたような、気持ちが張り詰めいている感覚があった(「あくび」や「スニーカー」)。
- アーティスト: bice,渡辺善太郎,清水弘貴
- 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
- 発売日: 1998/07/17
- メディア: CD
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前作よりブランクを開けて発表された「ツイオク」は、それまでとは一線を画した作品で、最初に耳にした当初は、本当に同じひとがつくったのか、と驚いた記憶がある。
- アーティスト: bice
- 出版社/メーカー: outgroup records
- 発売日: 2000/06/28
- メディア: CD
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「音が変わった」と書いたが、彼女がいわゆるメジャーデビューをする前にインディーズで発表したミニアルバムを聞けば、そちらの方が彼女の本来の「音」だということに気づかされる。その過程で、自分の「音」を取り戻していった、ということなのかもしれない。
- アーティスト: bice
- 出版社/メーカー: インディペンデントレーベル
- 発売日: 1998/04/30
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その後の彼女は、3枚アルバムを発表して入るが、どちらかといえばパフォーマーというより作家としての活動の方が多くなっていく。そのキャリアの部分については、僕は実は全く知らない。おそらくそちらの方も素晴らしいのだろうけど、率直に言ってあまり興味がわかない。彼女の歌というのは、彼女が唄うことによって一番魅力が発揮される、と決めつけてるところがあるのかもしれない。だからこそ、いつになるのかはわからないけど、彼女自身による次の作品を非常に心待ちにしていた、そんなミュージシャンのひとりだった。
その年齢を考えれば、これからもっと素晴らしい音楽を発表してくれたはずだし、手前勝手な言い方になるが、非常に残念である。ただただ、安らかに…